1.肺の構造と周辺知識

●気管で正しいのはどれか。2つ選べ。

 1.軟骨は筒状である。

 2.胸骨角の高さで分岐する。

 3.交感神経の働きで収縮する。

 4.吸息相の気管内圧は陰圧である。

 5.頸部では食道の背側に位置する。

 

 

 

●気管支の構造で正しいのはどれか。

 1.左肺には3本の葉気管支がある。

 2.右気管支は左気管支よりも長い。

 3.右気管支は左気管支よりも直径が大きい。

 4.右気管支は左気管支よりも分岐角度が大きい。

 

 

 

●成人の左右の主気管支を図に示す。

正しいのはどれか。

 1.1

 2.2

 3.3

 4.4

 

 

 

●肺と気管について正しいのはどれか。

 1.気管支動脈は肺循環に属する。

 2.気管軟骨は気管の背面に存在する。

 3.左肺は上葉、中葉および下葉に分かれている。

 4.酸素飽和度は肺動脈の血液よりも肺静脈の血液が高い。

 

 

 

●漿膜はどれか。

 1.腹膜

 2.結膜

 3.髄膜

 4.滑膜

 

 

 

●胸膜腔に存在するのはどれか。

 1.滑液

 2.空気

 3.血液

 4.漿液

 5.粘液

 

 

 

●縦隔に含まれるのはどれか。

 1.肺

 2.胸腺

 3.副腎

 4.甲状腺

 

 

 

●呼吸中枢の存在する部位はどれか。

 1.大脳

 2.小脳

 3.延髄

 4.脊髄

 

 

 

●呼吸で正しいのはどれか。2つ選べ。

 1.内呼吸は肺で行われる。

 2.呼気ではCO2濃度がO濃度よりも高い。

 3.吸気時には外肋間筋と横隔膜とが収縮する。

 4.呼吸を調節する神経中枢は橋と延髄にある。

 5.呼吸の中枢化学受容体は主に動脈血酸素分圧に反応する。

 

 

 

●呼吸で正しいのはどれか。

 1.横隔膜は吸気時に収縮する。

 2.睡眠時の呼吸は随意運動である。

 3.最大呼気時の機能的残気量は0になる。

 4.動脈血酸素分圧は肺胞内酸素分圧に等しい。

 

 

 

●吸息時に収縮する筋はどれか。2つ選べ。

 1.腹直筋

 2.腹横筋

 3.横隔膜

 4.外肋間筋

 5.内肋間筋

 

 

 

●成人の呼吸運動で正しいのはどれか。

 1.胸腔内圧は呼気時に陽圧となる。

 2.呼吸筋は主に吸気に用いられる。

 3.腹式呼吸は胸式呼吸より呼吸容積が大きい。

 4.動脈血二酸化炭素分圧の低下は呼吸運動を促進する。

 

 

 

●リラクセーションを目的とした腹式呼吸の方法で適切なのはどれか。

 1.浅い呼吸を繰り返す。

 2.呼吸に意識を集中する。

 3.1分間に20回のペースで行う。

 4.吸気と呼気の時間の比率を2:1とする。

 

 

 

●自発呼吸時の胸腔内圧を示す曲線はどれか。

 1.1

 2.2

 3.3

 4.4

 

 

 

2.呼吸の知識~スパイログラム

●肺拡散能に影響を与えるのはどれか。

 1.肺胞表面積

 2.気道抵抗

 3.死腔換気量

 4.残気量

 

 

 

●全肺気量の計算式を示す。

 

肺活量+( )=全肺気量

 

( )に入るのはどれか。

 1.残気量

 2.予備吸気量

 3.1回換気量

 4.予備呼気量

 

 

 

●スパイロメトリーで測定できるのはどれか。

 1.肺活量

 2.残気量

 3.全肺気量

 4.動脈血酸素飽和度<PaO2

 

 

 

●「安静時呼吸」「深呼吸」「徐々に深くなっていく呼吸」に伴う肺容量の変化を図に示す。

肺活量を示すのはどれか。

 1.①

 2.②

 3.③

 4.④

 5.⑤

 

 

 

●22歳の女性。四肢のしびれと胸部絞扼感とを訴えている。胸部聴診所見は正常、呼吸数35/分、脈拍数88/分、整、血圧118/72mmHgであった。

 

この患者の動脈血ガス分析で最も考えられるのはどれか。

 1.pH 7.30、PaO66mmHg、PaCO49mmHg

 2.pH 7.37、PaO97mmHg、PaCO41mmHg

 3.pH 7.43、PaO75mmHg、PaCO37mmHg

 4.pH 7.53、PaO112mmHg、PaCO28mmHg

 

 

 

●スパイロメトリーの結果による換気機能診断図を示す。

 

閉塞性換気障害と診断される分類はどれか。

 1.A

 2.B

 3.C

 4.D

 

 

 

●Aさん(62歳、男性)は呼吸困難と咳嗽が増強したため外来を受診した。胸部エックス線写真と胸部CTによって特発性肺線維症による間質性肺炎と診断され、呼吸機能検査を受けた。

換気障害の分類を図に示す。

 

Aさんの換気障害の分類で当てはまるのはどれか。

 1.A

 2.B

 3.C

 4.D

 

 

 

●呼吸困難を訴えて来院した患者の動脈血液ガス分析は、pH 7.32、動脈血炭酸ガス分圧<PaCO2>72Torr、動脈血酸素分圧<PaO2>50Torr、HCO3‾26.0mEq/Lであった。

このときのアセスメントで適切なのはどれか。

 1.肺胞低換気

 2.過換気症候群

 3.代謝性アシドーシス

 4.呼吸性アルカローシス

 

 

 

●肺気腫患者の肺機能検査で増加するのはどれか。

 1.1秒率

 2.残気量

 3.%肺活量

 4.肺拡散能

 

 

 

3.閉塞性・拘束性肺疾患

●拘束性換気障害を起こす疾患はどれか。

 1.喘息

 2.肺気腫

 3.肺線維症

 4.慢性気管支炎

 

 

 

●体位ドレナージの目的はどれか。

 1.関節拘縮の予防

 2.痛みの軽減

 3.睡眠の導入

 4.排痰の促進

 

 

 

●気管支鏡検査を受ける成人患者への援助で正しいのはどれか。

 1.検査の予約の際に抗凝固薬の内服の有無を確認する。

 2.検査の1時間前から飲食しないように指導する。

 3.検査中の咳は我慢しなくてよいと指導する。

 4.検査後は肺気腫の症状に注意する。

 

 

 

●気管支鏡検査で正しいのはどれか。

 1.検査の1時間前まで飲食できる。

 2.検査中、会話はできる。

 3.検査中、義歯は装着したままで良い。

 4.検査後、2時間は絶飲食とする。

 

 

 

●気管支鏡検査で正しいのはどれか。

 1.検査の4時間前まで飲水は可能である。

 2.咽喉頭麻酔は上部消化管内視鏡と同様に行う。

 3.前投薬として鎮咳薬を投与する。

 4.検査中に問題がなければ合併症の発症はない。

 

 

 

●胸腔穿刺について正しいのはどれか。

 1.腹臥位で行う。

 2.全身麻酔下で行う。

 3.穿刺後の24時間は床上安静とする。

 4.穿刺中は深呼吸をしないように指示する。

 

 

 

●特発性間質性肺炎の患者。毎日プレドニゾロンを30mg内服している。外来受診時に「この数日、目が少し痛いような気がして軽い頭痛もする。薬の副作用なのだろうか」と話した。

視力の変化や眼瞼および眼球結膜に充血を認めない。

対応で適切なのはどれか。

 1.プレドニゾロンの内服を中止して、2,3日様子をみる。

 2.外出時には必ずサングラスをかけ強い光線を避ける。

 3.鎮痛薬を内服する。

 4.眼圧を測定する。

 

 

 

●水封式持続吸引法による胸腔ドレナージについて正しいのはどれか。

 1.ドレーンの回路は開放式である。

 2.水封式の水面は呼吸に伴って上下に動く。

 3.吸引圧-50~-100cmH2Oに調節する。

 4.ドレーンバッグは挿入部よりも高く設置する。

 

 

 

●肺癌で斜切開による右上葉切除、リンパ節郭清術後1日。呼吸数20/分、経皮的動脈血酸素飽和度<SPO2>90%。主気管支で痰の貯留音を聴取した。患者に促すのはどれか。

 1.胸式の深呼吸をする。

 2.口すぼめ呼吸をする。

 3.創部を押さえて咳嗽する。

 4.浅く短い咳嗽を繰り返す。

 

 

 

●人工呼吸器による陽圧換気によって生じるのはどれか。

 1.肺気腫

 2.脳内出血

 3.胃液分泌の低下

 4.心拍出量の低下

 

 

 

●高濃度の酸素吸入によってCO2ナルコーシスを生じる危険性が最も高いのはどれか。

 1.無気肺

 2.肺塞栓症

 3.間質性肺炎

 4.慢性閉塞性肺疾患<COPD>

 

 

 

●Aさん(34歳、男性)は、数日前から息苦しさを感じており、昨夜から胸痛と呼吸困難が増強したため、午前2時に救急外来を受診した。来院時、Aさんの意識は清明であり、呼吸数24/分、脈拍96/分、整、血圧132/86mmHgであった。経皮的動脈血酸素飽和度<SPO2>92%。来院時の胸部エックス線写真を別に示す。

 

 

Aさんへの対応として適切なのはどれか。

 1.除細動の実施

 2.気管支鏡検査の実施

 3.胸腔ドレーンの留置

 4.中心静脈カテーテルの留置

 

 

 

●肺気腫の患者が、歩行時の息切れが強くなってきたため受診した。呼吸数は34/分で、口唇のチアノーゼがみられた。

この患者について正しいのはどれか。

 1.1回換気量が増加している。

 2.病状が進行するとPaCO2が上昇する。

 3.呼気よりも吸気を促すと効果的である。

 4.経皮的動脈血酸素飽和度<SPO2>は上昇している。

 

 

 

●Aさん(63歳、男性)は3年前から肺気腫で定期受診を続けていた。最近、歩行時の息切れが強くなってきたことを自覚し、心配になったため受診した。受診時、呼吸数は34/分で口唇のチアノーゼがみられた。

Aさんについて正しいのはどれか。

 1.1回換気量が増加している。

 2.呼気よりも吸気を促すと効果的である。

 3.経皮的動脈血酸素飽和度<SPO2>は上昇している。

 4.病状が進行すると動脈血二酸化炭素分圧<PaCO2>が上昇する。

 

 

 

●Aさん(58歳、女性)は、10年前に肺気腫を指摘されたが喫煙を続け、体動時に軽い息切れを自覚していた。Aさんは、肺炎で救急病院に入院し経皮的動脈血酸素飽和度<SPO2>86%でフェイスマスクによる酸素投与(4L/分)が開始された。抗菌薬投与後6日、鼻腔カニューラによる酸素投与(2L/分)でAさんの経皮的動脈血酸素飽和度<SPO2>94%まで回復した。

夜間Aさんは眠れているようだが、早朝に頭痛を訴え、日中も傾眠傾向になった。

Aさんへの対応で適切なのはどれか。

 1.抗菌薬の変更

 2.酸素投与量の増加

 3.動脈血液ガス分析の実施

 4.胸部エックス線撮影の実施

 

 

 

●慢性閉塞性肺疾患<COPD>の危険因子はどれか。

 1.花粉

 2.薬物

 3.たばこ煙

 4.アルコール

 

 

 

●慢性閉塞性肺疾患の生命予後を改善するのはどれか。

 1.体位ドレナージ

 2.在宅酸素療法

 3.去痰薬

 4.抗菌薬の予防投与

 

 

 

●慢性閉塞性肺疾患について正しいのはどれか。

 1.残気量は減少する。

 2.%肺活量の低下が著明である。

 3.肺コンプライアンスは上昇する。

 4.可逆性の気流閉塞が特徴である。

 

 

 

●慢性閉塞性肺疾患の患者にワクチン接種を勧めるのはどれか。

 1.B型肝炎

 2.日本脳炎

 3.流行性耳下腺炎

 4.インフルエンザ

 

 

 

●慢性閉塞性肺疾患で正しいのはどれか。

 1.1秒率の低下が特徴的である。

 2.肺活量の低下が特徴的である。

 3.在宅酸素療法の適応にならない。

 4.CO2ナルコーシスの場合は高濃度の酸素吸入を行う。

 

 

 

●肺気腫の患者への日常生活の指導で適切なのはどれか。

 1.胸式呼吸

 2.水分の制限

 3.低カロリー食の摂取

 4.下肢の筋力トレーニング

 

 

 

●肺活量の低下は著しくないが、1秒率が低下するのはどれか。

 1.肺塞栓症

 2.肺線維症

 3.気管支喘息

 4.重症筋無力症

 5.過換気症候群

 

 

 

●フローボリューム曲線を図に示す。

慢性閉塞性肺疾患の患者の結果はどれか。

 1.1

 2.2

 3.3

 4.4

 

 

 

●喘息のため吸入用ステロイド薬を使用する患者への説明で適切なのはどれか。

 1.吸入前に最後まで息を出してから吸い込む。

 2.吸入した実感があるまで数回噴霧する。

 3.吸入後はうがいをする。

 4.発作が起こりそうな時に使用する。

 

 

 

●成人の気管支喘息に対する副腎皮質ステロイド薬の吸入で正しいのはどれか。

 1.糖尿病の患者への投与は禁忌である。

 2.副作用(有害事象)に不整脈がある。

 3.重積発作の際に使用する。

 4.吸入後は含嗽を促す。

 

 

 

●気管支喘息に対する副腎皮質ステロイドの吸入療法について正しいのはどれか。

 1.副作用は内服より少ない。

 2.吸入後に含嗽はしない。

 3.食後の吸入が食前より効果的である。

 4.吸い込むタイミングで効果に差はない。

 

 

 

●成人患者の気管支喘息の治療で正しいのはどれか。

 1.テオフィリンの投与中は血中濃度の測定が必要である。

 2.副腎皮質ステロイド薬吸入後の含嗽は必要ない。

 3.インフルエンザワクチン接種は禁忌である。

 4.発作時にはβ遮断薬を内服する。

 

 

 

●肺癌で正しいのはどれか。

 1.我が国では扁平上皮癌が最も多い。

 2.小細胞癌は抗癌薬の感受性が高い。

 3.喫煙との関連が最も強いのは腺癌である。

 4.喫煙指数が300以下では発生の危険性が高い。

 

 

 

●肺癌について正しいのはどれか。

 1.腺癌は小細胞癌より多い。

 2.女性の肺癌は扁平上皮癌が多い。

 3.腺癌は肺門部の太い気管支に好発する。

 4.扁平上皮癌の腫瘍マーカーとしてCEAが用いられる。

 

 

 

●小細胞癌で正しいのはどれか。

 1.患者数は非小細胞癌より多い。

 2.肺末梢側に発生しやすい。

 3.悪性度の低い癌である。

 4.治療は化学療法を行う。

 

 

 

●右肺尖部の肺癌の胸壁への浸潤による症状はどれか。

 1.散瞳

 2.構音障害

 3.閉眼困難

 4.上肢の疼痛

 

 

 

●次の文章を読み問題1~3に答えよ。

 

Aさん(57歳、男性)は、妻(50歳)と2人で暮らしている。21歳から喫煙習慣があり、5年前に風邪で受診した際に肺気腫と診断された。最近は坂道や階段を昇ると息切れを自覚するようになってきた。

 

問題1.Aさんの呼吸機能に関する数値で増加を示すのはどれか。

 1.1秒率

 2.残気量

 3.1回換気量

 4.動脈血酸素分圧<PaO2>(room air)

 

 

 

問題2.Aさんは発熱、咳嗽、粘稠痰、呼吸困難を認めたため受診し、肺炎を伴う慢性閉塞性肺疾患<COPD>の急性増悪と診断されて入院した。入院後、薬物療法によって病状は改善し退院が決定した。看護師がAさんに退院後の生活について尋ねると、今回の入院をきっかけにAさんは退職し、家事に専念すると答えた。

 

Aさんの呼吸機能に対する負荷が最も小さい動作はどれか。

 1.食べる直前に調理する。

 2.部屋全体に掃除機をかける。

 3.頭より高い位置に洗濯物を干す。

 4.買い物した荷物をカートで運ぶ。

 

 

 

問題3.5年後、Aさんは急性増悪による入退院を繰り返していた。今回の入院では呼吸機能の低下がみられたため、退院後に在宅酸素療法<HOT>を導入することになった。Aさんは「家での生活で気をつけることは何ですか」と看護師に質問した。

Aさんへの指導内容で適切なのはどれか。

 1.「寒いときは電気毛布を使ってください」

 2.「入浴時は酸素チューブを外してください」

 3.「ガス調理器を電磁調理器に変更してください」

 4.「呼吸が苦しいときは楽になるまで酸素流量を上げてください」

 

 

 

●次の文章を読み問題1~3に答えよ。

 

Aさん(58歳、女性)は、3年前に慢性閉塞性肺疾患と診断された。3日前に38.0℃の発熱があった。市販の総合感冒薬を内服して様子をみていたが、昨晩から黄色痰がみられ、息苦しさが増強した。外来を受診したところ肺炎と診断され、入院した。入院時の状態は、体温38.2℃、呼吸数28/分、脈拍92/分、血圧138/72mmHg。

 

問題1.現時点の症状として考えられるのはどれか。

 1.呼吸の断続性副雑音

 2.Biot<ビオー>呼吸

 3.顔面浮腫

 4.皮下気腫

 

 

 

問題2.1週後、Aさんは肺炎が改善し、酸素吸入(1L/分)を行っている。病棟内での歩行が許可されたが、Aさんは歩くとすぐ息切れがすると言ってベッド上で過ごすことが多い。

Aさんへの指導で適切なのはどれか。

 1.「肩呼吸の練習をしてみましょう」

 2.「歩いた後に水分補給をしてください」

 3.「安静時に酸素の量を増やして回復を待ちましょう」

 4.「息切れがあるときに血液の酸素飽和度を測定してみましょう」

 

 

 

問題3.Aさんは、酸素吸入(1L/分)を行いながら入浴することが許可された。看護師は経皮的動脈血酸素飽和度<SPO2>と脈拍とを測定しながら入浴の見守りを行った。測定時の結果と症状とを表に示す。

 

次回入浴時の対策で適切なのはどれか。

 1.脱衣持の座位の時間を延長する。

 2.今後の入浴では酸素吸入は必要ない。

 3.浴槽の湯に入る時間を10分間確保する。

 4.身体を洗った後に休憩してから髪を洗う。

 

 

 

●次の文章を読み問題1~3に答えよ。

 

Aさん(25歳、男性、飲食店店員)は、2日前から感冒様症状があり、夜眠ろうとして横になるが息苦しくて眠れず、歩行や会話も困難となり、夜間にAさんの家族に伴われて救急外来を受診した。Aさんは地元の野球チームに所属し、休日には練習に参加しており、最近は残業が多く疲れていた。診察の結果、Aさんは気管支喘息発作と診断され、気管支拡張薬、副腎皮質ステロイドによる治療と、フェイスマスクによる酸素投与が行われたが、改善がみられず入院した。

 

問題1.入院後Aさんは呼吸困難が増悪し、発汗が著明であった。

入院時の看護として最も適切なのはどれか。

 1.全身清拭を行う。

 2.セミファウラー位とする。

 3.鎮静薬の処方を医師に相談する。

 4.口をすぼめてゆっくりと息を吐くように指導する。

 

 

 

問題2.入院後も呼吸困難や頻呼吸、呼吸性アシドーシスの改善が認められないため、鼻と口を覆うタイプのマスクを用いた非侵襲的陽圧換気を行うことになった。

Aさんへの説明で最も適切なのはどれか。

 1.「話すことができなくなります」

 2.「機械に合わせて呼吸してください」

 3.「自分でマスクの位置を調整しても問題ありません」

 4.「空気の圧力がかかるので息が吐きにくくなります」

 

 

 

問題3.非侵襲的陽圧換気開始後、Aさんの呼吸状態は改善した。酸素投与も中止となり、歩行時の呼吸状態の悪化を認めないため、近日中に退院する予定である。

退院時のAさんへの指導として最も適切なのはどれか。

 1.「食事の制限はありません」

 2.「お酒は飲んでも大丈夫です」

 3.「野球はやめた方がよいでしょう」

 4.「ストレスをためないようにしてください」

 

 

 

●次の文章を読み問題1~2に答えよ。

 

60歳の男性。右主気管支入口部の扁平上皮癌に対する放射線療法施行後、肺炎を起こした。入院時、体温37.2℃、呼吸数20/分、脈拍数86/分、整、血圧124/74mmHg。経皮的動脈血酸素飽和度<SPO2>92%、右呼吸音が弱く、喘鳴がある。白色粘稠痰を少量ずつ喀出しているが、息を吐き出しにくいと呼吸困難を訴えている。抗菌薬が投与され、鼻腔カニューレでの酸素投与が3L/分で開始された。

 

問題1.息を吐き出しにくい原因で考えられるのはどれか。

 1.腹水貯留

 2.気道狭窄

 3.気胸

 4.放射線肺炎

 

 

 

問題2.入院時の対応で適切なのはどれか。

 1.呼吸回数を増やすように促す。

 2.痰を吸引する。

 3.器具による呼吸訓練を勧める。

 4.口すぼめ呼吸を指導する。

 

 

 

●次の文章を読み問題1~3に答えよ。

 

45歳の女性。2か月前から咳嗽と喀痰とが出現した。最近、倦怠感も強くなったため受診した。胸部エックス線写真で左肺上葉に異常陰影を認め、精査と治療とを目的に入院した。

 

問題1.経気管支肺生検(TBLB)が予定された。

肝生検前の説明で適切なのはどれか。

 1.「検査前日の夜9時以降は飲水できません」

 2.「気管支鏡を入れるときは息を止めてください」

 3.「苦しいときは手を挙げて合図してください」

 4.「検査後には積極的に咳をして痰を出してください」

 

 

 

問題2.検査の結果、左肺上葉の腺癌と診断され、開胸左肺上葉切除術が予定された。術前肺機能検査結果は%肺活量70%、1秒率85%であった。

手術前の呼吸練習で適切なのはどれか。

 1.短速呼吸

 2.胸式呼吸

 3.口すぼめ呼吸

 4.間欠的陽圧呼吸<IPPB>

 

 

 

問題3.左肺上葉切除後2日目、右肺下葉で呼吸音が聴取されない。体温37.4℃。呼吸は浅表性で25/分、血圧164/96mmHg。鼻カニューレで3L/分の酸素吸入を行い、経皮的動脈血酸素飽和度86%。胸腔ドレーンはー10cmH2Oで低圧持続吸引している。痰がからんでいるため喀出を促したが「痛くてそれどころではない」と顔をしかめた。対応で最も適切なのはどれか。

 1.酸素投与量を増やす。

 2.去痰薬の吸入を行う。

 3.気管支鏡による気管内吸引の準備をする。

 4.胸腔ドレーン吸引圧を上げる。

 

 

 

●次の文章を読み問題1~3に答えよ。

 

Aさん(58歳、男性、会社員)は、身長175cm、体重73kgである。Aさんは、健康診断の胸部エックス線撮影で異常陰影を指摘され、3週前に胸部造影CT検査を受けた。左肺下葉に約8mmの病変が見つかり、精密検査の結果、肺癌(T1N0M0)と診断され、本日、手術目的で入院した。咳嗽、息苦しさ、喀痰はない。喫煙歴があり、20年間20本/日、禁煙後18年である。

 

バイタルサイン:体温36.9℃、呼吸数14/分、脈拍72/分、整、血圧136/76mmHg、経皮的動脈血酸素飽和度<SPO2>96%(room air)。

検査所見:赤血球510万/μL、Hb15.6g/dL、Ht47%、白血球6200/μL、血小板32万/μL、総蛋白7.7g/dL、アルブミン4.2g/dL、空腹時血糖102mg/dL。

呼吸機能所見:%VC76%、FEV%73%。

 

問題1.入院時の所見で正しいのはどれか。

 1.頸部リンパ節の腫脹

 2.拘束性換気障害

 3.低栄養

 4.貧血

 

 

 

問題2.Aさんは、入院2日目に胸腔鏡下左下葉切除術を受ける予定である。Aさんは看護師に「全身麻酔で手術を受けるのは初めてです。医師から手術の説明はあったけれど、合併症についてもう一度教えてもらえますか」と質問した。

Aさんに生じる可能性が高い合併症はどれか。

 1.気胸

 2.反回神経麻痺

 3.Horner<ホルネル>症候群

 4.Pancoast<パンコースト>症候群

 

 

 

問題3.Aさんの手術は予定通りの術式で行われ、肺癌は術前診断通りの病期であった。Aさんの術後経過は良好であり、退院日が決定した。Aさんのバイタルサインは、体温36.3℃、呼吸数18/分、脈拍66/分、整、血圧134/76mmHg、経皮的動脈血酸素飽和度<SPO2>97%(room air)であった。

退院後の生活指導で正しいのはどれか。

 1.「インフルエンザワクチンは接種できません」

 2.「左手で重い荷物を持たないでください」

 3.「少しずつ活動量を増やしてください」

 4.「自宅で酸素吸入を行ってください」

 

 

 

4.呼吸不全や気胸など

●呼吸不全について正しいのはどれか。

 1.喘息の重積発作によって慢性呼吸不全になる。

 2.動脈血酸素分圧<PaO2>で2つの型に分類される。

 3.動脈血二酸化炭素分圧<PaCO2>が60mmHg以下をいう。

 4.Hugh-Jones<ヒュー・ジョーンズ>分類は呼吸困難の程度を表す。

 

 

 

●過換気でみられるのはどれか。

 1.骨格筋の弛緩

 2.血中酸素分圧の低下

 3.体循環系の血管の収縮

 4.代謝性アルカローシス

 5.血中二酸化炭素分圧の上昇

 

 

 

●気胸について正しいのはどれか。

 1.外傷は原因の1つである。

 2.自然気胸は若い女性に多い。

 3.原因となるブラは肺底部に多い。

 4.治療として人工呼吸器による陽圧換気が行われる。

 

 

 

●呼吸困難を訴える患者で呼吸音に左右差を認める場合、可能性が高いのはどれか。

 1.肺気腫

 2.自然気胸

 3.間質性肺炎

 4.気管支喘息

 

 

 

●Aさん(24歳、男性)は突然出現した胸痛と呼吸困難があり、外来を受診した。意識は清明。身長180cm、体重51kg、胸郭は扁平である。20歳から40本/日の喫煙をしている。

バイタルサインは、体温36.2℃、呼吸数20/分(浅い)、脈拍84/分、血圧122/64mmHgである。

胸部エックス線写真を示す。

Aさんの所見から考えられるのはどれか。

 1.抗菌薬の投与が必要である。

 2.胸腔ドレナージは禁忌である。

 3.右肺野の呼吸音は減弱している。

 4.胸腔内は腫瘍で占められている。

 

 

 

●Aさん(27歳、男性)は、突然の胸痛と呼吸困難があり、救急外来を受診した。意識は清明。身長179cm、体重63kg、胸郭は扁平である。20歳から1日50本の喫煙をしている。バイタルサインは、体温36.1℃、呼吸数22/分、経皮的動脈血酸素飽和度<SPO2>96%(room air)である。

下図に示す胸部CTから考えられるのはどれか。

 1.酸素吸入が必要である。

 2.抗菌薬投与が必要である。

 3.右肺野の呼吸音は減弱している。

 4.左胸腔内は液体成分で占められている。

 

 

 

●Aさん(34歳、女性)は、気管支喘息で定期的に通院をしている。朝から喘息発作があり呼吸困難が生じたため、救急外来を受診した。

 

経皮的動脈血酸素飽和度<SPO2>95%、動脈血液ガス分析(room air)で動脈血酸素分圧<PaO2>90Torr、動脈血二酸化炭素分圧<PaCO2>55Torr、pH7.30、HCO3‾25mEq/Lであった。

Aさんの状態で考えられるのはどれか。

 1.呼吸性アシドーシス

 2.呼吸性アルカローシス

 3.代謝性アシドーシス

 4.代謝性アルカローシス

 

 

 

●呼吸性アシドーシスをきたすのはどれか。

 1.飢餓

 2.過換気

 3.敗血症

 4.CO2ナルコーシス

 5.乳酸アシドーシス

 

 

 

●次の文章を読み問題1~3に答えよ。

 

Aさん(64歳、女性)は、慢性閉塞性肺疾患で通院加療中である。1週前から感冒様症状があり市販薬を服用し経過をみていたが、呼吸困難を訴えた後、反応が鈍くなり救急車で搬送された。Aさんは肩呼吸をしており、発汗が著明で口唇は乾燥している。体温38.3℃、呼吸数35/分、脈拍108/分、血圧96/70mmHg、経皮的動脈血酸素飽和度<SPO2>89%であった。ジャパン・コーマ・スケール<JCS>Ⅱー30。動脈血液ガス分析では動脈血酸素分圧<PaO2>60Torr、動脈血炭酸ガス分圧<PaCO2>68Torr、pH7.29であった。

 

問題1.この時点でのAさんのアセスメントで誤っているのはどれか。

 1.脱水である。

 2.意識障害がる。

 3.アシドーシスである。

 4.ショック状態である。

 

 

 

問題2.Aさんは肺炎による急性呼吸不全と診断され、点滴、膀胱留置カテーテルの挿入および気管内挿管が実施された。

このときのAさんの観察で最も注意すべき状態はどれか。

 1.乏尿

 2.血圧上昇

 3.末梢冷感

 4.下肢の浮腫

 5.呼吸音の減弱

 

 

 

問題3.Aさんは胸部エックス線写真で右中下肺野の浸潤影が認められ、膿性の痰が吸引されている。このときの体位ドレナージで最も効果的なのはどれか。

 1.右30°側臥位

 2.左30°側臥位

 3.右前傾側臥位

 4.左前傾側臥位

 5.腹臥位

 

 

 

●次の文章を読み問題1~3に答えよ。

 

Aさん(62歳、男性)。1人暮らし。1週前から感冒様症状があり様子をみていたが、呼吸困難と咳嗽が増強したため外来を受診した。胸部エックス線写真と胸部CTによって特発性肺線維症による間質性肺炎と診断され入院した。

既往歴:42歳で糖尿病と診断された。59歳と61歳で肺炎に罹患した。

生活歴:3年前から禁煙している(20~59歳は20本/日)。

身体所見:BMI17.6。体温38.8℃、呼吸数30/分、脈拍112/分、血圧140/98mmHg、経皮的動脈血酸素飽和度<SPO2>91%。両側下肺野を中心に、吸気終末時に捻髪音あり。呼気時は問題ないが、吸気時に深く息が吸えない。ばち状指を認める。

検査所見:血液検査データは、白血球13000/μL、Hb10.5g/dL、総蛋白5.2g/dL、アルブミン2.5g/dL、随時血糖85mg/dL、CRP13.2mg/dL。動脈血液ガス分析で、pH7.35、動脈血二酸化炭素分圧<PaCO2>38Torr、動脈血酸素分圧<PaO2>56Torr。胸部エックス線写真と胸部CTで、下肺野を中心に輪状影、網状影、淡い陰影あり。

 

問題1.入院時のAさんの身体状況のアセスメントで適切なのはどれか。

 1.水様性の気道分泌物が貯留している。

 2.呼吸性アシドーシスである。

 3.栄養状態は良好である。

 4.Ⅰ型呼吸不全である。

 

 

 

問題2.Aさんは入院後に呼吸機能検査を受けることになった。換気障害の分類を図に示す。

Aさんの呼吸機能検査の結果で考えられるのはどれか。

 1.A

 2.B

 3.C

 4.D

 

 

 

問題3.入院後18日。Aさんは2日後に自宅へ退院することとなった。Aさんは「病院に来る前は、息苦しくて死ぬかと思った。あのような思いはもうしたくない。家に帰ってまた息苦しくならないか不安だ」と言う。

Aさんが症状を自己管理できるように指導する内容で適切なのはどれか。

 1.習慣的に腹式呼吸をする。

 2.入浴時は肩まで湯に浸かる。

 3.動作時は前傾姿勢を保持する。

 4.息苦しくなったら仰臥位を保持する。

 

 

 

●次の文章を読み問題1~3に答えよ。

 

Aさん(60歳、男性、元建設業)は、妻(57歳)と2人暮らし。2年前に悪性胸膜中皮腫と診断され、化学療法を受けたが効果がみられず、外来通院していた。2週前から、胸痛、息苦しさ、倦怠感が増強したため、症状コントロール目的で入院した。

バイタルサイン:体温36.0℃、呼吸数24/分、脈拍92/分、血圧126/88mmHg、経皮的動脈血酸素飽和度<SPO2>86~90%(room air)。

身体所見:両側下肺野で呼吸音が減弱しており、軽度の副雑音が聴取される。

血液所見:赤血球370万/μL、Hb8.8g/dL、白血球6700/μL、総蛋白5.2g/dL、アルブミン3.8g/dL、CRP1.5mg/dL。

動脈血液ガス分析(room air):pH7.31、動脈血二酸化炭素分圧<PaCO2>40Torr、動脈血酸素分圧<PaO2>63Torr。

胸部エックス線写真:胸膜肥厚と肋骨横隔膜角の鈍化が認められる。肺虚脱なし。

 

問題1.Aさんの呼吸困難の原因で考えられるのはどれか。2つ選べ。

 1.胸水

 2.気胸

 3.貧血

 4.CO2ナルコーシス

 5.呼吸性アルカローシス

 

 

 

問題2.入院後、症状緩和のためモルヒネの内服と経鼻カニューレによる酸素療法2L/分が開始された。経皮的動脈血酸素飽和度<SPO2>は95%前後で維持されるようになったが、Aさんは夜間の息苦しさを訴えている。

Aさんの呼吸困難を緩和するための体位で適切なのはどれか。

 1.半腹臥位

 2.右側臥位

 3.左側臥位

 4.セミファウラー位

 

 

 

問題3.入院後2週、Aさんの身体状態は急激に悪化し、Aさんは「息が吸えない。苦しい。何とかしてくれ」と訴え、眉間にしわを寄せて口呼吸をしている。軽度の喘鳴がみられ、経皮的動脈血酸素飽和度<SPO2>は88~92%(経鼻カニューレによる酸素療法2L/分)である。また、頻繁に体位を変えて落ち着きがなく、つじつまが合わない訴えと場所の見当識障害もみられる。毎日面会に来ている妻は「どうなってしまったのでしょうか。苦しそうでかわいそう」と涙ぐみ、ベッドから離れたところで座っている。

Aさんの妻への看護師の説明で適切なのはどれか。

 1.「Aさんが場所を間違っても否定しないでください」

 2.「口腔内吸引をするとAさんの呼吸が楽になります」

 3.「タッチングをするとAさんの安心感につながります」

 4.「Aさんの症状が落ち着くまで自宅で待機して下さい」

 5.腹臥位

 

 

 

●次の文章を読み問題に答えよ。

 

23歳の男性。突然の胸痛と呼吸困難のため受診し、自然気胸と診断された。1週間安静にして様子をみていたが改善しないため入院した。胸腔ドレーンが挿入され、水封式装置につないでドレナージが開始された。 

胸腔ドレナージ施行中の看護で適切なのはどれか。

 1.水封式の連続的気泡を観察する。

 2.吸引圧調節ボトル内の水は無菌的に取り扱う。

 3.排液ボトルは1日3回交換する。

 4.移動時は排液ボトルを挿入部よりも高く保つ。